今回は歴史ある京野菜のなかでも、最も古くから栽培されてきた品目の一つである「九条ねぎ」をご紹介します。
1909年に編集された「京都府園芸要覧」(京都府農会)に、「稲荷神社が建立せられたるとき(711)においてねぎを栽培し始め、その原種は浪速(大阪)より来るもの」と言う記載があります。また、江戸時代に書かれた『薙州府志』には、現在の京都市の東・西九条周辺で栽培されているねぎが良いという記事が記されているように、九条地区あたりで栽培され、改良されたものが現在の九条ねぎです。
昔、弘法大師が東寺付近で大蛇に追いかけられ、九条ねぎ畑に隠れて難を逃れたことから、弘法大師の縁日(月命日)である毎月21日には九条ねぎを食べるのを遠慮する風習が残るなど、京都府民にはとっても身近な食材です。
京都府内全域で栽培され、特に宇治田原町、南丹市、福知山市、与謝野町、京丹後市、宮津市、伊根町や山城北部地域が「京のブランド産品」のブランド産地に指定されています。
九条ねぎは、主に緑色の葉の部分を食用とし、白ねぎのような軟白栽培をしなくても柔らかい特徴があります。色の濃い太めの系統と色の浅いやや細めの系統があり、前者はすき焼きや鍋物等の具材として、後者はうどんやラーメン等の薬味として使われることが多いです。
京都では薬味だけではなく、様々な料理の主役として利用され、愛されておりますので、その一部をご紹介いたします。