京都の伝統・文化を支えている花や果物の情報を発信しています。
今回は、府内各地で栽培されている桃についてご紹介します。
桃は古くから魔除けや強い霊力があると信じられており、日本の神話を綴った古事記ではイザナギノミコトが黄泉の国から逃げ帰るときに、桃によって黄泉醜女(ヨモツシコメ)を退けることができたというエピソードもあります。
★いわれ
日本での桃の利用の歴史は古く、奈良県の纏向(まきむく)遺跡では桃の種が大量に出土する等、祭事に使われていたと考えられています。
和食との関連については、武家のおもてなしの席で振る舞われた「本膳料理」には菓子の膳が不可欠であり、室町末期の茶所「烏鼠集四巻書」では、桃の種を鼻紙に包んで持ち帰ることが記されており、茶会席などの膳に桃が出されることも少なくなかったのではと考えられています。
江戸時代には、現在の桃山地域一帯に桃園があり、江戸から見物客が来たことが記録されているほか、江戸後期~明治にかけて、寺田(城陽)周辺が桃やスモモの産地であったことから、昔から京都では桃が広く食べられていたと考えられています。
★産地・旬
京都府における桃の栽培面積は約30haで、その9割が京丹後市が占め、ほぼ全量が直売や宅配にて販売されています。
旬は梅雨明け後の7月下旬~8月中旬(盆頃)までで、この時期だからこそ味わえる特別感があります。特に京都の桃は、他産地よりもよく熟したものが流通するため、香り、甘みがとても強く美味しいので、ぜひお試しください!